イオインダストリー株式会社(IO INDUSTRY CO.,LTD.)

製品・技術情報
技術情報

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プラスチック材料の水分・揮発ガスに起因する
「シルバー不良」の撲滅をめざして。

イオでは「成形不良・不具合ゼロ」をめざし、日々品質向上活動に取り組んでいます。
たとえば、ベント式射出成形における「シルバー不良」の改善もそのひとつ。
プラスチック材料に含まれる水分や揮発ガスの条痕が成形品に現れる「シルバー不良」をいかに削減したのか、その具体策をご紹介します。

プラスチック材料は多種多様ですが、ほぼ全てが吸水性を有しており、品質・生産性を確保するためには乾燥設備による水分除去が欠かせません。
しかし、さまざまな外乱・変化要因(環境・設備など)から、安定した状態を保つことは難しく、材料によっては水分の除去そのものや管理方法が課題となるケースがあります。同様に、材料由来の揮発ガスも乾燥設備だけでは完全に除去することができません。
そして、これらの課題はそのまま成形不良・不具合につながり、品質・生産性の低下を招く一因となります。特に扱いが難しい材料においてはその傾向が強く見られます。

任意のスクリュ位置で任意の原料供給量を制御できるオンリーワン技術を考案。

従来製法のノンベント式射出成形【図1】では、
1.乾燥機~射出シリンダ間における原材料の再吸水
2.原材料吸水による水分と原材料成分による揮発ガスの発生
3.それらに伴う外観不良の発生、及び成形性の低下

が課題として挙げられていました。

一方、ベント式射出成形では、プラスチック材料が第1ステージで溶融加圧された後、
水分・揮発ガス成分が圧力解放部(ベント孔)から排出されるという脱気原理が成り立ちます。
この脱気原理は、乾燥設備だけでは除去しきれない水分や揮発ガスを絞り出す合理的な仕組みであり、
ベント式射出成形では材料の乾燥工程そのものを要しません。

ただし、ベント式射出成形機を正しく使いこなすには熟練した技能士の技が欠かせず、
弊社は導入から今日に至るまで、試行錯誤を繰り返しながら技術的な根幹部を構築してきました。
そして、これまでの取り組みの過程で、オンリーワン技術である「原料供給制御システム及び原料供給制御方法」を考案。

これは、任意のスクリュ位置で任意の原料供給量を制御できる技術で、インラインスクリュの弱点でもあるスクリュ有効長の変化に起因する不定な熱履歴の改善をはじめ、以下に示す効果が期待できます。

ベント式射出成形【図2】は潜在力が高く、まだまだ多くの可能性を秘めているといっても過言ではありません。

イオでは、
1.水分を含む揮発ガス成分の完全除去(無乾燥成形)
2.成形不良発生ゼロ(検査工程の簡素化)
3.条件調整を含む成形不具合発生ゼロ(水分率のバラツキ吸収)

を目標として掲げながら、今後もさらなる技術向上に取り組み、高付加価値成形の実現を通してお客様ビジネスに貢献することをめざしてまいります。