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ガスインジェクション成形技術（ガスアシスト成形技術）
「ガスインジェクション成形（ガスアシスト成形）」に取り組んだ経緯
イオインダストリー株式会社の主力製品であるアウトドアハンドルは、グリップタイプとフラップタイプがあり、主に軽自動車に採用されています。
アウトドアハンドルのグリップタイプには、従来から生産している中実タイプと”ガスインジェクション成形技術”を適用した中空タイプがあります。
中実タイプは厚肉の成形品で、品質面ではヒケが、工程面では成形サイクル短縮が課題でした。
自動車用アウトドアハンドル 中実タイプ
図1.自動車用アウトドアハンドル（中実タイプ）
中実成形品では表面にヒケと呼ばれる歪みや凹みが発生します。
ヒケは、冷却による収縮が進むことで発生するため、対策として長い時間、保持圧力（保圧）をかけることで解消しています。
また、厚肉の成形品は、金型から取り出した後の長い冷却時間が課題でした。
成形条件を最適化し、適正な保圧、成形品を型から取り出し温度コントロールされた冷却水槽に浸けて強制冷却することで、課題を解決し、成形サイクル時間を短縮しています。
自動車用アウトドアハンドル 中空タイプ
図2.自動車用アウトドアハンドル（中空タイプ）
ガスインジェクション成形技術による軽量化と高外観の両立
アウトドアハンドルは、ドア開閉時の握り心地をよくするため、ある程度の太さが必要で、かつ高い外観品質を要求される意匠部品です。
中空化する際は、太さをキープした状態で、強度、外観品質を保持する必要があります。
ガスインジェクション成形技術により、厚肉が解消され外観品質を向上するだけでなく、車両1台に４個使用するアウトドアハンドルでは、材料コスト削減と搭載車両の燃費向上に大きく寄与しています。
ガスインジェクション成形技術（ショートショット法）
① 金型のキャビティ内に樹脂を射出する。
② 図3のように、樹脂を未充填のまま射出を完了する。
③ 射出完了前後のタイミングでガスノズルより、窒素ガスを注入する。
④ 図3のように、ガスの圧力でキャビティ内全体に樹脂を充填させる。
図3.ガスインジェクション成形（ショートショット法）
図4.ガスインジェクション成形 中空化
ガスインジェクション成形技術を導入して成形品を中空化し、重量で約30％の軽量化に成功しました。
また、中空化した樹脂重量分は、材料コスト削減となります。
ガスインジェクション成形による、ソリの解消
射出成形品のソリとは、金型キャビティの中では平面な形状が、金型から取り出された後、変形する現象です。曲がり、ねじれと呼ぶこともあります。
注入されたガスの保持圧と薄肉化により固化が進むことで、成形品の変形を抑え、ソリを解消しています。
成形サイクルの時間短縮
中実タイプの成形サイクル［型締め⇒樹脂射出⇒保圧⇒型開き・製品取出し］の時間を100％とすると、中空タイプの成形サイクル［型締め⇒樹脂射出⇒ガス注入⇒ガス保圧⇒型開き・製品取出し］は、80％程度となり、20％程度の時間を短縮できます。
また、中実成形品の場合は、製品取り出し後の強制冷却工程が必要でしたが、ガスインジェクション成形技術では、不要となります。
成形品の重量削減と併せて成形サイクル時間の短縮と強制冷却工程が不要となることで、コストが削減できます。
ガスインジェクション成形技術の特長
・中実成形品と比較して、中空化により軽量化できる。
・軽量化した樹脂重量分がコスト削減となる。
・ヒケ、ソリなどを防止できる。
・成形サイクル時間を短縮できる。
・成形後の強制冷却工程が不要になる。
製品例：自動車用アウトドアハンドル
図5.自動車用アウトドアハンドル
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